にわか<京都人>宣言・・・東京者の京都暮らし
著者:校條毅(めんじょうつよし)出版:イースト新書
雑誌編集長が退職後に、京都の某私立大学の教授として迎えられ、京都で生活するという幸せな筆者が羨ましくて買った一冊です。
内容は、かなりの部分が生活者としての話で、家賃は東京と比較するとそう高くないとか、スーパーの品揃えがどうだとか、パン屋や中華料理店の案内等、当初の期待とは何か違うなという感じ・・・
ただ京都の夏の暑さについての話は面白かった。著者はワンルームマンションに住んでいるので、エアコンさえあれば凌げると思っていた。当初は東京の内陸部と違わないと感じていたのが、2年、3年と重なるにつれ、夏の暑さは単に暑いという表現では物足りないことが分かってきた。バーナーで炙られるような日中の日差し、夜になってからの蒸し暑さは尋常ではないと。鴨川の川床も実際にその席に着いてみると以外に涼しくないのに呆れてしまう。
ただ貴船の川床に行けば、本当の涼しさが体験できたのに残念と思ってしまう。
京都人は「見立て」という技を使う。そのように見立てるという意味で、「涼しくはないが、涼しいと見えるように工夫しようという考え方で、「いかにも涼しげに思える『見立て』が、川床の神髄なのだ」と著者は理解するのである。
冬も夏同様に年数を経るに従い、独特の寒さに苦しめられる。
そして「清少納言や紫式部の時代の人々は、どのようにして寒さ、暑さを凌いでいたのだろうか」と思いを巡らす。
観光ガイドではないので、その向きには適していないが、京都での生活を始めるなら参考になるのではと思います。
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