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2021年1月21日木曜日

街道を撮りにゆくー宮城県・伊豆沼

         10万羽の渡り鳥の聖地

宮城県北の伊豆沼は、マガンや白鳥類等の渡り鳥が多い時には10万羽が越冬します。中でもマガンは最大約8万羽にも達し日本最大の飛来地です。オオハクチョウの飛来数も日本一だそうです。また国際的に重要な湿地を保全する「ラムサール条約」に登録されています。

冬のマガンの撮影での醍醐味は、日の出と共に餌を求めて一斉に飛び立つ光景と羽音が圧巻です。数十羽単位で飛び上がったマガンはすぐに編隊を組みます。所謂「雁行」と呼ばれる隊列です。

ただ日の出までの待ち時間は、かなりの寒さ(寒い時はマイナス10℃程度)が襲ってきますので、カメラを構えてジッとしているとジンジンと寒さが身に凍みてきます。

以下、写真でご覧下さい。

早い時は日の出前から、マガンは飛び立っていきます。
撮影者の気持ちとしては「早く太陽よ昇ってくれ!」という心境です。










オオハクチョウも沢山います。



2021年1月13日水曜日

読書 沢木耕太郎「テロルの決算」を読んで

「政治の季節」から「所得倍増」への時代の中で・・・


日比谷公会堂での刺殺の瞬間を捉えた写真

日本刀を持った山口ニ矢が体当たりで浅沼稲次郎の脇腹を突き刺し、更に第二撃を加えようとした瞬間。

撮影したカメラマンはこの写真でピューリッツァー賞を受賞しました。(この写真はネットから引用しています)


昭和35年10月に起きた社会党委員長・浅沼稲次郎の刺殺事件。この事件を扱った沢木耕太郎の「テロルの決算」は以前から関心があったが、10年程私の本棚で積読状態でしたが、今回やっと読み終えました。

今では風化して、若い世代は全く知らない事件であると思うが、当時は小学生だった私でさえも大きな衝撃を受け、連日新聞に大きく取り上げられていた記憶がある。

本書では、余り触れられていないのだが、事件の起きた昭和35年というのは、所謂「60年安保」の年であり、日本全体が政治に揺れていた年であった。後に保守の論客となる、江藤淳、石原慎太郎、黛敏郎、浅利慶太までが、「反安保・反政府」を叫んでいた。そして岸信介首相の孫であった安倍晋三が、意味も分からず「アンポハンタイ!」と首相官邸のリビングの中を走りまわっていたという。

その年の6月の安保闘争で樺美智子さんが死亡し「反安保・反政府」運動はピークに達したが、7月には日米安保条約の批准をし終えた岸内閣が倒れ、替わって「所得倍増」を掲げた池田内閣が登場し、時代は変わろうとしていた。

かなり前置きが長くなってしまったが、本書では、そのような政治の季節と呼ぶ時代が変わろうとしていた中で、17歳の山口ニ矢と、61歳の野党第一党の社会党委員長の浅沼稲次郎が、この年の10月に日比谷公会堂でなぜ交錯していくようになったかを、豊富な資料とインタビューによって、二人の人生の軌跡をきめ細かく丹念に、著者特有の硬質な文体で見事に描ききっている。

久々に骨のある本を読んだ気がします。もっと早く読めば良かった。力作である。

2021年1月4日月曜日

街道を撮りにゆくー冬の上高地

            モルゲンロート&モノクロームの世界


上高地の観光期間は4月中旬~11月中旬までなので、11月中旬以降は閉山となり、各施設(宿泊その他)および交通機関は営業をしていません。例外的に年末年始のみ一部の宿泊施設(ex.大正池ホテルは山小屋として)が営業をしていますが、交通機関は止まっていますので、上高地に入るには、釜トンネルから歩いて現地入りとなります。歩行時間は夏場なら大正池まで、約1時間程度の距離ですが、冬場は雪道で、しかも凍結した場所もあるので、1.5倍から2倍程度の時間が掛かると思ったほうが安全だと思います。(現在の新型コロナの感染が広がっている状況下では、入山の可否を含めて個別に確認を取って下さい)

ただ苦労して雪道を歩いて辿り着いた先には、想像を絶する別世界が広がっいます。

これまでの冬の上高地に入った時の写真で、時系列的にご紹介します。この時は東京を午後10時に出発し、午前2時頃に上高地に到着しました。

1.星空の撮影

大正池に到着したら直ぐに星空の撮影をしましょう。

この時は、寒くて電池の消耗が激しく短時間で撮影を終えました。
(山頂が光っているのが焼岳)






2.夜明け前の静寂に包まれる穂高岳
  ブルーの世界に包み込みこまれます。この時間の気温はマイナス20℃



















3.モルゲンロート
「モルゲンロート」とは、登山用語の一つで、夜が明けきらない早朝に、東の空より一筋の赤い光が山を照らし、山脈や雲が赤く染まる「朝焼け」のことをいいます。語源はドイツ語で「Morgenrot」 直訳すると「Morgen」は「朝」、「rot」は「赤い」を意味しています。



















4.大正池から田代池へ移動
大正池での撮影を終えると、田代池へ移動します。
直ぐに霞沢岳からの朝日が差し込んで来るタイミングになります。


















モノクロームの世界が広がります。



















5.雪と氷の造形













6.夕陽に照らされた西穂高岳
  写真撮影に夢中になっていると、直ぐに夕方になってしまいます。











以上が、駆け足で非常に荒っぽい紹介でしたが、冬の上高地の1日です。

【注意点】冬の上高地での注意点はやはり寒さ対策です。明け方はマイナス20℃まで気温が下がり、寒さでまず足からやられますので、耐寒ブーツは必須です。更にカメラの電池も寒さで急に電圧が下がり使えなくなりますので、その対策も必要です。また、現在の新しい釜トンネルはまだ歩いたことがないのですが、旧釜トンネルでは、アイスバーンの箇所があり、アイゼンが必要でした。

以上、体力と寒さに自信のある方は冬の上高地に是非挑戦して下さい。但し初めての人は必ず経験者の同伴が必要です。