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2021年12月21日火曜日

読書 異邦人(いりびと)原田マハ

       京都を堪能させてくれる小説

著者:原田マハ
出版:PHP文芸文庫

京都を舞台にした小説を探していましたら、本作品が目にとまった次第です。
これまで「楽園のカンヴァス」「暗幕のゲルニカ」等を通じて好きな作家だったので早速読むことにしました。著者の作品は、これまでルソーやピカソ等西洋絵画が主題であったのが、本作品は京都を舞台に日本画を取り扱った新境地の作品といえます。

画廊を経営する篁一輝(たかむらかずき)とその妻の菜穂を中心に物語が展開してゆく。菜穂はまた実家が運営する美術館の副館長であり、美術品の審美眼では他に追随をゆるさぬほどの目利きである。
妊娠した菜穂が、3・11の福島原発の放射能汚染の胎児への影響を恐れて、京都へ一時避難したことから、物語は始まる。

著者が「川端康成の『古都』をお手本にした」というだけあって、京都の祭りや伝統行事に留まらず、書道や茶の湯までたっぷりと描かれており、これだけでも十分に京都を堪能でき、当初の目的は達成できました。
ただ、物語の前半は主人公が篁一輝のようでそうでもないような、はっきりしないまま後半に突入してやっと主人公が菜穂だと分かる。この点が主人公に感情移入しにくい背景になっているように思うのが残念です。

2021年12月20日月曜日

読書 「日本史のしくみ」 林屋辰三郎・梅棹忠夫・山崎正和(編)

    超豪華メンバーによる大討論会の面白さを満喫


編纂:林屋辰三郎・梅棹忠夫・山崎正和
出版:中公文庫

《あらすじ》
歴史とは変革の歴史であり、情報が歴史を動かす――。古代の倭国の大乱から第二次大戦後までを一二の時期に区分し、歴史を考える論点を提示する。編者に上田正昭、司馬遼太郎、原田伴彦、村井康彦を加えた多彩な執筆陣がユニークな視点から日本史のしくみを解き明かした記念碑的著作。









京都学派?(正確には京都学派には定義がある)とういうべき錚々たるメンバーの林屋辰三郎、梅棹忠夫、上田正昭、原田智彦、村井康彦、山崎正和と、京大OB以外では、司馬遼太郎が加わった超豪華メンバーでの日本の歴史の大討論会。
この本は1971年に単行本化、1976年に文庫化、更に2019年に改版されている。2021年現在、村井康彦が90歳で他のメンバーは全員亡くなっている。もはや古典と言えそうだ。

多くは歴史学者だが、梅棹忠雄は民俗学・比較文明論、山崎正和は劇作家・美学者であり、司馬遼太郎は歴史小説家で、特に後者の2名は学者とは肌合いが違うのが面白い。あとがきで、梅棹忠夫は、「(司馬遼太郎の)その知識の広さと話の面白さに毎回舌をまいた」と称賛している。
このようなメンバーの勉強会であるが、それぞれが、この勉強会に知的興奮を覚えたようだ。
この半世紀後に山崎正和が「それにしてもあの楽しみは何だったのだろうかと、半世紀後にしてしみじみと思う」と改訂版で述べている。

内容は古代から戦後までの膨大な時代を取り扱っているので、この紙面でまとめ切れるようなものではないが、各時代のテーマ毎に、報告書と共同討議になっているので、読者にもその知的興奮が伝わってくる。是非とも歴史の興奮を求めている方には、お薦めします。

2021年12月16日木曜日

街道を撮りにゆく 鴨川の飛び石

     京都の新名所? 鴨川の飛び石


鴨川の飛び石については、NHKオンデマンドのBSプレミアム「京都人の密かな愉しみ 冬(冬の岸辺編)」を見ていて、なかなか面白い光景だなと思い興味を持ちました。
今回京都を訪れたのを機会に「二条の飛び石」「荒神の飛び石」「出町の飛び石」の3ケ所を見てきました。

京都府のHPを見ますと、
「この飛び石は、河床の安定を図るという主目的のために設けた横断構造物の上にいろいろな形に模したコンクリートブロックを配置したもので、水位が低い時には人が渡ることができるという二次的な役割を果たしているのです。
今から約20年前に「河川環境整備」の一環で親水機能を合わせ持つ仕組みにチャレンジした技術職員の試みが「鴨川を代表する風景」へと成長した姿だったのです」
と過去のいきさつが書かれていました。

         この地図もネットから引用させていただきました。




 
これらの飛び石は、鴨川の水位が低下する時期、特に晩秋から冬になると現れ、渡れるようになります。
鴨川流域(鴨川・賀茂川・高野川)のこのような飛び石は調べてみると6ケ所ほどあり、しかも飛び石の形が上の図に記載されているように、「亀」「ちどり」「おむすび」等いろいろと種類があるようです。

 以下写真でご覧下さい。
みんな跳ねるように渡っていきます
恋人たちも
彼女一人でもジャンプ!!!









老夫婦も手に手を取って







飛び石の間隔は意外と広く大変そうです

元気な女の子が飛ぶようにして渡って行きました


2021年12月12日日曜日

街道を撮りにゆく 2021紅葉⑧ 京都(ライトアップ)

     京都の寺院はライトアップがお好き


京都では、ライトアップをしている寺院を何ケ所か回りました。最近は単にライトアップだけでなくプロジェクトマッピングまで取り入れているのには驚きました。
以下、写真をご覧ください。

高台寺の方丈前庭でのプロジェクトマッピング








高台寺

豊臣秀吉の正室である北政所が秀吉の冥福を祈るため建立した寺院であり、寺号は北政所の落飾後の院号である高台院にちなむ



高台寺の竹林











高台寺


露と落ち 露と消えにし 我が身かな 

浪速のことは 夢のまた夢

(秀吉の辞世の句)



高台寺塔頭の圓徳院









興聖寺参道の琴坂

興聖寺山門

興聖寺は、『京都人の密かな愉しみ』の中で「宇治のお寺」として登場している

※『京都人の密かな愉しみ』は、NHKBSプレミアムにて2015年から不定期に放送されている
TVドラマとドキュメンタリーがミックスしたユニークなシリーズで第32回ATP賞テレビグランプリ受賞作







知恩院三門

高さ24メートル、横幅50メートルで、使用されている屋根瓦は約7万枚もあり、その構造・規模において、わが国最大級の木造の門です
知恩院・御影堂











知恩院・男坂

知恩院御影堂から空へ光を照射
ライトの光がカメラで捉えるには弱くて、苦労しました






2021年12月11日土曜日

街道を撮りにゆく 2021紅葉⑦ 京都(真如堂)

      真如堂は「散りもみじ」の名所


   












今回は真如堂での墓参りにかこつけて、京都の「ずらし旅」を行いました。
当寺院は散りもみじで知られており、期待していたのですが、紅葉のピークは過ぎていたにもかかわらず、散りもみじには早かったようです。
以下写真をご覧ください。


層をなすようなもみじ

一部だけ散りもみじがありました



























この三重の塔の写真は以前のものですが、一番のお気に入りの一枚です


2021年12月8日水曜日

街道を撮りにゆく 2021紅葉⑥ 京都(平等院)

       平等院は紅葉の隠れた穴場



京都に行っても宇治まで足を伸ばす機会も少なく、また宇治平等院は一見紅葉とは無関係のように思えます・・・が、意外と隠れた穴場で、今回訪れて良かったと思いました。

ここは、源氏物語との関連が深く、平等院は、光源氏のモデルとされる源融(みなもとのとおる)の山荘があった地であり、また同物語の「宇治十帖」の舞台となっています。そのような理由で宇治橋の傍には、紫式部の像があります。

紫式部の像


平等院へ行く途中には、お洒落なスタバの店がありました








平等院の入り口には見事なもみじ












ガラス戸の隙間からわずかに
もみじが・・・
















鳳凰堂の裏手に回ると、建物が夕日を浴びて、その反射が朱を流したように見えます


















鳳凰堂の向こうに夕陽が沈み、西方極楽浄土をこの世に出現させたかのような景色が出現した

2021年12月7日火曜日

街道を撮りにゆく 2021紅葉⑤ 京都(北野天満宮)

          北野天満宮は梅ともみじの名所

北野天満宮はご存じのように、学問の神様・菅原道真を祀る全国天満宮総本社で、京都では通称「天神さん」「北野さん」と呼ばれて親しまれています。
京都で「北野さん」と言えば梅であるが、一方境内にある「御土居のもみじ苑」では50種350本のもみじが植えられており、もみじの名所でもあるのです。

今回は、紅葉のピークから外れた「ずらし旅」なので、ここ北野天満宮の紅葉は盛りを過ぎていましたが、それでも十分に楽しめました。紅葉の見頃の頃は、もみじの雲海のような感じだろうと容易に想像がつきます。

以下、北野天満宮のもみじを楽しんで下さい。

楼門
お寺は山と考えていますので山門と呼びます。
一方、神社の場合は「楼門」といいます。「楼」は高い建物や櫓の意味なので、門の上に建物が乗っているような、あるいは上に人が立って見渡せるような門をさします。



もみじのボリューム感に圧倒されそうです


紙屋川に架かる鶯橋
鶯橋からの眺め











紙屋川沿いの眺め






「東風(こち)吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春を忘るな」
これは良く知られていますように、菅原道真公が京都から九州の太宰府に左遷される時に、大切にしていた梅の木に別れを告げるべく詠んだ歌です。
そして、この歌を聞いた梅の木があるじを思い、一晩にして京都から太宰府へ飛んでゆく。それが、かの有名な「飛梅伝説」。
ここ北野天満宮の紅梅は、飛梅伝説の原種と言われています。

俳人・長谷川櫂は、大宰府を訪れたときに「海の細道」で次のように述べています。
「梅は中国渡来の、まだめずらしい木だった・・(略)・・道真は264年も続いた遣唐使を廃止した。その間に蓄積された中国文化はこれ以降、日本風の文化に変容していくことになる。道真が流されたとき、都の屋敷に植えていた紅梅が大宰府に飛んできたというが、いま大宰府にある梅はなぜか白梅である。梅もいつか中国人好みの紅梅から日本人好みの白梅に変わった」

2021年12月6日月曜日

街道を撮りにゆく 2021紅葉④ 京都(法然院・安楽寺)

    法然院・安楽寺は紅葉の穴場スポット


京都の紅葉の人気スポットとして、嵐山地区、永観堂・南禅寺地区、清水寺、東福寺等がありますが、いずれも大混雑するので、今回はそれらを外し、また時期も少しずらしました。当然紅葉のピークからも若干ずれるが致し方ありません。
JR東海のキャンペーンで「そうだ京都、行こう」に「ずらし旅」でゆったり紅葉を楽しむというキャッチフレーズがあったのを思い出して真似た次第です。

まずは、法然上人に関係する法然院と安楽寺を訪ねました。
法然院は、浄土宗の開祖・法然上人が弟子と共に念仏修行を行ったいう旧跡、一方安楽寺は、法然上人が弟子の住蓮・安楽両上人の菩提を弔うために創建したそうです。
また、安楽寺の門前は散紅葉で有名で、TVドラマ等でも見かけることがあります。
私がTVで見たのは、もの凄い量の落葉に埋もれた死体が発見されるというような場面でした・・・余り適切な場面ではないかも・・・。

以下、晩秋の京都の紅葉をお楽しみ下さい。
安楽寺近くのもみじは真っ盛り
散紅葉
安楽寺
安楽寺(正面入り口)
安楽寺の開門時間になると早くも拝観者が訪れていた

法然院の山門
境内には白砂壇
望むらくは、散紅葉がいっぱいあれば・・・








境内から見た山門
こちらから見た山門の屋根は一面苔に覆われて良い雰囲気を漂わせています

苔の上の落ち葉も雰囲気があります