京都を堪能させてくれる小説
著者:原田マハ
出版:PHP文芸文庫
これまで「楽園のカンヴァス」「暗幕のゲルニカ」等を通じて好きな作家だったので早速読むことにしました。著者の作品は、これまでルソーやピカソ等西洋絵画が主題であったのが、本作品は京都を舞台に日本画を取り扱った新境地の作品といえます。
画廊を経営する篁一輝(たかむらかずき)とその妻の菜穂を中心に物語が展開してゆく。菜穂はまた実家が運営する美術館の副館長であり、美術品の審美眼では他に追随をゆるさぬほどの目利きである。
妊娠した菜穂が、3・11の福島原発の放射能汚染の胎児への影響を恐れて、京都へ一時避難したことから、物語は始まる。
著者が「川端康成の『古都』をお手本にした」というだけあって、京都の祭りや伝統行事に留まらず、書道や茶の湯までたっぷりと描かれており、これだけでも十分に京都を堪能でき、当初の目的は達成できました。
ただ、物語の前半は主人公が篁一輝のようでそうでもないような、はっきりしないまま後半に突入してやっと主人公が菜穂だと分かる。この点が主人公に感情移入しにくい背景になっているように思うのが残念です。
画廊を経営する篁一輝(たかむらかずき)とその妻の菜穂を中心に物語が展開してゆく。菜穂はまた実家が運営する美術館の副館長であり、美術品の審美眼では他に追随をゆるさぬほどの目利きである。
妊娠した菜穂が、3・11の福島原発の放射能汚染の胎児への影響を恐れて、京都へ一時避難したことから、物語は始まる。
著者が「川端康成の『古都』をお手本にした」というだけあって、京都の祭りや伝統行事に留まらず、書道や茶の湯までたっぷりと描かれており、これだけでも十分に京都を堪能でき、当初の目的は達成できました。
ただ、物語の前半は主人公が篁一輝のようでそうでもないような、はっきりしないまま後半に突入してやっと主人公が菜穂だと分かる。この点が主人公に感情移入しにくい背景になっているように思うのが残念です。