「京 都 の 壁」
評価:★★☆☆☆著者:養老孟司
出版:京都しあわせ倶楽部
タイトルからして、京都の閉鎖性もしくは、まさに京都の「壁」を批判する本かと思いしや、極めて常識的な内容で、「バカの壁」で一世を風靡した著者の本とは思えない。
同じような京都を扱った本でいうなら、「京都ぎらい」「京都まみれ」等の著者である井上章一の執拗な、あくの強い文章を読んでいると、何と常識的な、平板な本のように感じてしまう。期待を裏切られた本である。
例えば、「京都の閉鎖性」については、「京都だけが特殊なわけではない。むしろ日本人特有の性質を、今も色濃く残しているのが京都ではないでしょうか」と、極めて遠慮がちというか、「京都の壁」ではなく、京都を擁護している・・・こういう箇所が随所にみられる。
鎌倉生まれの鎌倉育ちの元東大教授の著者が、たまたま「京都国際マンガミュージアム」の館長になったので、それを契機に書いた本なので、特に京都の知見があるとか、こだわりがある訳ではないので、致し方ないと思うが、このタイトルの「京都の壁」はいただけない。
これは著者だけの責任ではなく、出版社の売らんがための意向もあるは思うが・・・。
養老孟司の本の愛好者は別にして、全くお薦めできない本です。
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