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2020年8月8日土曜日

読書 「100分de名著『共同幻想論』」吉本隆明

                      100分de名著「共同幻想論」


学生時代に(粋がって)「共同幻想論」を買ってきて、読んだことがあった・・・内容は全く理解できずに、すぐにギブアップした記憶が残っています。

あれから長い年月を経て、今回は再チャレンジ。 
吉本の戦争体験(というか軍国少年が戦争に参加出来ずに終戦になり、価値観の大転換が起こったこと)から説き起こし、「個人幻想」「対幻想」「共同幻想」に分類し、「遠野物語」「古事記」からの引用の内容を噛み砕いてくれたNHKの編集が良かったので、バカな私にもそれなりに理解できたのでは??? と勝手に思っています。
これにより以前に読んでよく理解できていなかった「吉本隆明・江藤淳全対話」の内容がかなり理解できるようになった。

ただ、吉本隆明が戦後最大の思想家と評されているが、「共同幻想論」を初め、吉本の著作は、一般にはそれほど読まれているとは思えない。
以前、内田樹と高橋源一郎の「吉本隆明と江藤淳―最後の批評家」という対談で、内田が東大文Ⅲのとき、殆どのクラスメイトが吉本隆明の本を読んだことがないと言う記述があった。
恐らくそれが実態で、1970年代前後の全共闘のバイブルでもあり、極左という位置づけで、幾分当時のマスコミに祭り上げられたのでは・・・
そういう意味で「戦後最大の思想家」というが、本を読まれていない、もしくは読んだとしても読者が理解できていないということを考えると、影響力という意味では、どうなのだろうか・・・と、ふと疑問が湧いてきた。

話が脱線するが、吉本隆明の江藤淳への追悼文を読むと、この極左と思われていた人が、保守の論客であった江藤淳を本当に信頼していたことが良くわかるし、日本の状況がどうかとか、知識人と思想のあり方ということに関しての二人の考え方のプロセスは殆ど一緒だったように思う。ただ最後の処方箋の所で、右と左に別れただけのような気がします。

今回、この本を読んで、学生時代にふと戻った感覚がして、当時の状況を含めて懐かしく思い出した次第です。

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