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2023年8月12日土曜日

読書 信長の正体(本郷和人)

    歴史学者の書いたこれまでと違う信長論


著者:本郷和人
出版:文春文庫

著者は、もともと「人物史」が大好きであったが、大学で日本史を専門的に学ぼうとしたところ、そこには「人物史」はなかったという。
大学での指導教授は「歴史学は人間の心までは分け入るべきではない」という禁欲的な姿勢を強調したこともあり、著者は「人物史」を封印した。

それから40年以上経ち、その封印を解いて「自分なりの人物史」をあらわしたのが本書である。

著者の人物史への封印を解く回答とは、ひとりの人間、あるいは物語的な人間を描くのは、ドラマの演出家や歴史小説家の仕事として割り切って、「歴史的人間」という概念を採り入れて織田信長を論じることであった。本書はそのテストケースである。

上記のような考えのもとに、全体に、信長個人の特異性や魅力を述べると言うより、歴史の流れの中で、なぜ信長がこの時代に生き残ったか、あるいはこの時代が信長を必要としていたかという観点から構成されている。

例えば、「比叡山焼き討ち」の例を取れば、通常は信長の異常性もしくは非情性が、問題にされるが、著者は、「比叡山延暦寺が、何故それまでの守られるべきものではなく、攻撃してもいいと判断される対象となったか」という観点から、解き明かしてゆく。
具体的には、いっけん信長とは関係のない、空海・最澄の密教の歴史から始まり、それらが国家を担う宗教となったが、長い変遷の末、時代の要請に対しての「耐用年数」を超えてしまったと、時代の流れから具体的に読み解いていく。見方を変えれば、歴史全体の中で、信長を位置づけようとしている。
このように、これまでの信長論とは、一味違って、大きな歴史の流れから、信長を解き明かそうとしているのが新鮮味があって面白い。

話は変わるが、著者に対して、ネットでの書き込みで「ロクな論文も書かずに、一般向けの本をやたら書きまくったり、メディアに出過ぎだ」との批判がある。
それらの批判を予期していたのか否か分からないが、著者は、この本の中で、最近の若者の歴史嫌いの傾向を憂い、「みんなにもっと歴史を好きになってもらいたい」という理由で、「仲間に笑われたり、軽んじられるのは分かっているが、テレビやラジオなどのメディアに出演するようになった」と、心境を述べている。

追記:本書で気になるのは、「信長の正体」というタイトルと、文庫本のマンガチックな表紙です。恐らく本人ではなく、編集者が、若者向けを狙ってこのようにしたのだと思いますが、イマイチでした。本の内容への批判ではありません。

2023年8月5日土曜日

写真 森の妖精・レンゲショウマ

 赤城山自然園では、森の妖精といわれるレンゲショウマの大群落が見頃を迎えています。(撮影 2023-8-3)

以下、写真をご覧下さい。






















































2023年8月2日水曜日

読書 日本に古代はあったのか(井上章一)

    世界史的視野からみる日本史の疑問



著者:井上章一
出版:角川選書

著者を知っている読者ならお分かりですが、この本も著者特有の屁理屈を捏ねまわして、既存の東大学派と称される定説に「いちゃもん」をつけている本です???

私は、著者の発想のユニークさと、表現や物語の展開が面白いので、半分与太話かなと思いながらも、京都人である著者に敬意を込めて、読み始めた次第です。

著者が昔建築史の勉強していた時に、外国人を法隆寺に案内して、「古代の建築」と説明して、聞きとがめられたことから話は始まってゆく。法隆寺建立は7世紀初頭で、ヨーロッパでは、西ローマ帝国が滅亡(476年)し、既に中世に移行している時代である。
それに比して、日本での中世の始まりは、鎌倉時代(12世紀~)以降とされているので、実に700年もの違いがある。
また、ドイツやスカンジナビア諸国には古代はなくて、中世から歴史が始まるという。

本書では、宮崎市定ら京大学派の「中国史」の時代区分を使って、今の歴史教育で用いられている時代区分を、著者特有の言い回しで、(いわゆる)東大学派が主導する既存の日本史の時代区分を執拗に批判し、自説を展開していきます。

ここで面白いのは、「ヨーロッパ史および中国史」vs「日本史」という比較で、大風呂敷を拡げて、古代と中世の区分について、述べていることです。
特に、地球の寒冷化がユーラシア大陸を覆った時に、大陸の西では、北方遊牧騎馬民族のフン族がゲルマン民族を圧迫し、彼らの大移動を引き起こし、東では匈奴の中国侵略ということに繋がてゆく。そしてその民族移動が、東西の古代文明の崩壊へと繋がり、中世へ移行していったという論理展開は、話としては壮大で、とても面白い発想です。
そして著者はヨーロッパと中国の時代区分からみて「日本に古代はなかった」という結論に辿り着く。(ここでも中国での古代と中世の時代区分の議論が別途あります)
恐らく、日本史や中国史の専門家では、このような発想での本は書けないだろうなと思うほど面白い論理展開のしかただと思います。

余談で、面白いのは、京大学派とされる梅棹忠夫や関西人代表のような司馬遼太郎が、京大学派の主張する時代区分に与しないで、中世は鎌倉時代から始まったとする東大学派と同じ発想をしていることを、嘆き悲しんでいる。(まあ話を面白くするためのポーズかもしれませんが・・・)

ただ、注目したいのは、東大教授で中世史専門の本郷和人氏が、別の本で下記のように書いています。(私が本書を読むきっかけになった記述です)
「(日本の)古代を無理やり設定する背景には、戦前の皇国史観の影響があるのではないか。国際日本文化研究センターの井上章一教授が書いた『日本に古代はあったのか』という著書は説得力があるだけに、私にとっては衝撃の一冊であった」
という訳で、本書は単なる与太話ではなさそうである。

2023年7月13日木曜日

写真 2023白馬山麓 番外編

<白馬長野オリンピック道路を抜けると>

山の中を走っていたのが、一気に視界が開け、白馬連山が目に飛び込んで来ます。
感動の一瞬です。



















<白馬・大出公園>

白馬三山を背景に、吊り橋・古民家・水車があります。
春には桜でにぎわうようです。


































水車-1



























水車-2



























水車-3



























高速回転(?)する水車

手持ちでのスローシャッター(1/3秒)は難しいんです。

























<Snow Peak LAND STATION HAKUBA>

観光案内所、スタバ、レストラン、キャンプ場を併設した複合施設で、建築家・隈研吾氏のデザインで有名です。(白馬駅から徒歩10分です)



2023年7月11日火曜日

写真 2023白馬山麓 その3<朝霧の白馬三山と岩岳>







    500円ブランコがリゾート地を救った

ここ岩岳スキー場は、海抜も高くないので雪質にも恵まれず更に八方尾根スキー場と栂池スキー場の有名スキー場に挟まれて、いつ閉鎖になってもおかしくないスキー場で、唯一の利点は、正面に白馬三山を望む風景でした。
その瀕死のスキー場を救う奇跡を起こしたのが、1回500円のブランコでした。
今や夏の来場者が8倍にも増え、マスコミにもたびたび紹介されている「白馬岩岳マウンテンリゾート」を訪れました。
以下写真をご覧下さい。

<朝の白馬三山

































白馬岳
















白馬鑓が岳 下の方に鳥が飛んでいます




















白馬岩岳マウンテンリゾート

展望テラス











ひとときの森の「カガミのオウチ」











豪快にブランコを漕ぐ女性



























下山するとこんな顔が出迎えてくれました。

2023年7月10日月曜日

写真 2023白馬山麓 その2<栂池自然園>

栂池は夏の花の真っ盛り

ここ栂池に来ると、初めて白馬岳を登った時を鮮明に思い出します。
その時は、白馬大雪渓から山頂を目指し、翌日は前線の通過の影響で、山は荒れ狂い山小屋に閉じ込められ、さらに一泊し、3日目にやっと下山できました。下山ルートは、小蓮華山・白馬大池経由で、ここ栂池へ下ってきました。

7月初めの栂池は、日本で一番遅い水芭蕉の季節を終えて、夏の花の楽園と化していました。
以下、写真で栂池の花々をご覧下さい。

右手前より、小蓮華山、白馬岳、杓子岳 一番左に僅かに見えるのが白馬鑓ケ岳



















キヌガサソウ


マイズルソウ


イワカガミ








コミヤカタバミ





ベニバナイチゴ










ゴゼンタチバナ



















エンレイソウ












チングルマ
花が終わり、穂(正式には実)を作成中















サンカヨウ
<絵はがきより>雨に濡れたサンカヨウ・・・雨が降って欲しかったなあ!

2023年7月8日土曜日

写真 2023白馬山麓 その1<白馬五竜高山植物園>

正面は唐松岳から延びる八方尾根、奥には白馬三山

                        




       
  

  

 



            梅雨の晴れ間を縫って


7月初旬の梅雨の晴れ間を縫って、白馬山麓を徘徊(?)してきました。
若い時なら、白馬三山・唐松岳・五竜岳などの登山をしたのでしょうが、最近は膝を痛め、「登山」はおろか「山歩き」も覚束なくなり、まさに徘徊(笑)です。

白馬山麓では、3回ほどのシリーズを予定しています。
第1回目は、「白馬五竜高山植物園」の花々をご覧下さい。
ここは標高1515mに広がる日本有数の高山植物園で、ヒマラヤ山麓に生息するという幻の青いケシなど見どころがいっぱいです。
五竜岳および八方尾根が目前に見え、更に尾根の向こうに白馬三山が見えます。花々だけでなく眺望だけでも満足できます。

ヒマラヤ系の青いケシ














クロユリ
















ササユリ
















オトメユリ(ヒメサユリ)


クリンソウ










ミヤマオダマキ












1671mの地蔵の頭にあるケルン




















五竜岳 2814m