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2026年11月2日月曜日

読書メモ 「三島由紀夫・石原慎太郎全対話」

                 興 味 津 々 の 二 人 の 対談

片山杜秀氏の「大論争 この国の守り方」で、石原慎太郎vs三島由紀夫の事に触れており・・・片山氏の見立ては、三島は石原の「若さ」と「バイタリティ」、そしてそれを支える「肉体」にコンプレックスを抱いており、常に石原の後追いで対抗しようとしている(ボディビル・映画出演や監督等々)・・・という内容が面白かったので、二人に興味が湧き、この本を読んだ次第です。

私は、三島については「潮騒」「金閣寺」「春の雪(豊饒の海)」、石原については「太陽の季節」程度しか読んでいなくて、二人についてはマスコミ報道から受けるイメージが中心であまり良い読者ではありません。

全部で9回の対談を行っており、その後三島が自決する5ケ月前には、三島が毎日新聞で公開批判しており、それに石原が返答する形で終わっている。

対談は、最初は三島が、欧米文学や日本の古典の知識を披露して、先輩格である態度で接しているが、時間の経過と共に、対等な関係になっていくのがよく分かり、最後の対談では三島が日本の歴史・天皇・神話に関する解釈の違いで、相当に苛ついて怒る場面もあります。
これは、単なる意見の相違ではなく、三島が命を懸けようとしていた聖域(天皇制)を、石原がどこまでも近代的・自己肯定的な視点でしか捉えなかったことへの、三島の絶望と焦燥が浮き彫りになった結果かも知れません。
中でも面白かったのは、演劇の脚本を書くことについての対談。脚本家と演出家・役者間の理解や力関係において、それぞれの違いについて興味が湧きました。特に歌舞伎については脚本家より役者の力が大きく作用し、脚本家の思いが通じないと言う。三島も石原も劇場という空間に深く関わったからこそ、「言葉(脚本)」が「肉体(役者)」に裏切られたり、あるいは凌駕されたりする現場のダイナミズムを、実感を伴って語り合えたのだと思います。
意外だったのは石原については、晩年のイメージで政治家という印象でしたが、インテリジェンスのある文士であることを痛切に感じました。

最後は喧嘩別れのような形になっていますが、三島も石原もお互いに文学だけでは物足りず、いろんな形で自己表現をしたいという共通点もあり、お互いに刺激し、思った事を言い合える仲だったと思います。
三島の自決という結末を知っている私たちは、どうしてもそこから逆算して三島の言動を解釈しがちです。しかし、この対談集では、まだ生きて活動している三島と石原が、互いに刺激を受け、議論し、時には笑い、時には激しく反発する姿を見ることができた面白い対談集でした。

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