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2026年3月3日火曜日

映画 「木挽町のあだ討ち」(源孝志監督)

  江戸時代を、歌舞伎を、一気に現代へ引きずり寄せる仕掛け


原作:永井紗耶子(直木賞と山本周五郎賞をダブル受賞)
監督:源孝志
キャスト:柄本佑、渡辺謙、北村一輝、滝藤賢一、長尾謙杜etc.

映画の冒頭、雪の中で、赤い着物を着た美少女が悪党づらの作兵衛(北村一輝く)に、すれ違いざまに帯を掴まれ、帯がクルクルと解け、剥ぎ取られた赤い着物が空中へ舞う。その着物の下からは、白い仇討ち姿の凛々しい若武者・菊之助(長尾謙杜)が現れる。

折しも歌舞伎小屋「森田屋」では「仮名手本忠臣蔵」の千穐楽の幕が引けて、観客がゾロゾロと夜の街へ出てきて、この仇討ち現場に出くわす。
群衆は、自然と仇討ちの立会人であり、その目撃者となった。
若武者は激闘のすえ、見事に父の仇の首を打ち取り、首を引っ提げて去ってゆく。それは見ている群衆にとっては、先ほどまで歌舞伎小屋で見ていた、赤穂浪士が吉良上野介の首を討ち取って、引き上げてゆく姿に重なっていた。
そうしてこの見事な仇討ちの噂は江戸中に一気に広まってゆく。

1年半後に、仇打ちをした菊之助の縁者と名乗る飄々とした主人公・加瀬総一郎(柄本佑)が江戸に現れ、総一郎曰く「菊之助は虫のも殺せぬほどの心優しい男でね」そのような男が200人もの目撃者がいる中で、江戸中に知れ渡るほどの見事な仇討ちが何故出来たのか? 総一郎はこの謎解きを始めてゆく。
そこに居るのは歌舞伎小屋「森田座」の癖のある面々と彼らを束ねる戯作者篠田金治(渡辺謙)
総一郎は「森田屋」の面々とのやり取りから。この事件の謎に迫ってゆく。そして一見飄々とした総一郎の背後にも、この謎を解き明かさなければならない隠された事情が絡んでいた。

笑いあり、涙あり、圧倒的な分かりやすさとテンポの良さ、美しい映像で、「見せる」というよりも「魅せる」、そして東野圭吾に通じる「なぜ」を重視する深い人間愛、意表を突く結末(どんでん返し)、江戸時代や歌舞伎を現代に蘇らせるような仕掛け、全員主役で、癖のある役柄を見事に演じ切る役者陣。

監督・源孝志は、NHK・BSでの「京都人の密かな愉しみ」「スローな武士にしてくれー京都撮影所ラプソディー」等を通じて、これまで私を魅了してくれていますが、今回も期待通りというか、期待以上の極上のエンターテインメントを提供してくれました。

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