フォロワー

2021年4月22日木曜日

読書 「司馬遼太郎の街道」東京編+京都・奈良編

 「街道をゆく」が2度楽しめる朝日の「どじょう商法」


どじょう商法」という言葉があるらしいが、Googleで検索したが出て来ない。
所謂、新規の商売ではなく「柳の下の二匹目のどじょう」を狙った商売である。
(元々の「柳の下の泥鰌」の意味とは反対の使い方ではあるが・・・)




かつて「松下電器」と呼ばれていた会社は「マネシタ電器」と揶揄された時代があり、それは「どじょう商法」と言われた。競合相手のソニー(こちらは「松下電器ソニー研究所」と呼ばれた)が新しいアイデアを出して、顧客の新規開拓を行うと、「松下電器」が同じような製品を出して、全国に広がる販売網を駆使して、瞬く間にシェアを奪った(古き良き)時代があった。(その後、家電量販店の時代になると、このビジネスモデルは崩壊した)

今回取り上げた2冊の本(東京編および京都・奈良編)も「どじょう商法」の類型だと思う。
かつて、司馬遼太郎が「街道をゆく」を週刊朝日に掲載し、その後単行本化し、次に文庫化する。そして全43巻が累計1200万部の大ベストセラーになった。
通常はここまでであるが、司馬遼太郎亡き後、その後ベストセラー作家に恵まれない週刊朝日は考えた。
かつて司馬遼太郎の「街道をゆく」に同行した記者が、その地を再訪して、かつての司馬を偲んだり、その後の現地の状況をリポートする・・・これならイケると担当者はほくそ笑んだかも・・・
これを週刊朝日に連載し、単行本化し、その後の文庫化に当たっては、地域を東京・京都・奈良に限定し、再構成して出版した。それが今回取り上げた2冊である。

「どじょう商法」と分かっていながら、この本を買うバカな顧客が世の中にいっぱいいるから、週刊朝日は笑いが止まらないであろうと思いながら、本を買ってしまうのが司馬遼太郎ファンの性(サガ)なのかも知れない。
(週刊朝日も週刊文春にやられっぱなしで可哀そうではあるが・・・)

かつての「街道をゆく」の愛読者で、なおかつ「どじょう商法」と分かっていても、「街道をゆく」を二度楽しみたいという御仁は買って下さい。それなりに司馬遼太郎を偲ぶことが出来ます。


0 件のコメント:

コメントを投稿