出版:文春文庫
葉室麟の「柚子は九年で」の次に出された2冊目の随筆集。
「源実朝」という項があった。著者は「近頃実朝が気になっている」と書いているので、著者の「実朝の首」を執筆する直前に書かれたものだろう。また2022年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」も11月は実朝を軸に展開している。次の日曜日には実朝は、甥の「公暁」に殺される場面になるのかも知れない。
著者によると、実朝に魅かれた文学者が多いという。なるほど「吉本隆明」「太宰治」「小林秀雄」が、「実朝」に関する評論を書いている。
太宰は「アカルサハ、ホロビノ姿デアロウカ、人モ家モ、暗イウチハマダ滅亡セヌ」と。書かれたのは昭和17年。小林も戦時中に書いている。
戦時中の不思議な明るさに秘められた滅びの予感のようなものを文学者は感じたのであろうか。
最終章の「日々雑感」の「健康への出発」には、京都に仕事場を構えたが、一人暮らしで弁当ばかり食べているので、太って体調を崩した。「体調管理をして、なすべき仕事をしよう」と書いている。亡くなる5ケ月前に書いているのが、かえって切ない。
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