SNS時代についていけない世代はどうすればよいのか???
出版:朝日新書
以前に読んだ、著者の「中国化する日本」が面白かったので、この本を手にしたのだが、どうもついていけない。
内容は、朝日新聞に連載したコラムを軸にして、それに対談4編に、著者へのインタビューから構成されているが、冒頭の「まえがき―さよなら、学者たち」で躓いた。
「まえがき」は、SNSで炎上した歴史学者の投稿内容をダイジェストしているのだが、名前を匿名にするのは良いが、部外者には内容がチンプンカンプンで理解しようがない。
具体的には、実証的な歴史研究者A(日本史・男性)が「網野義彦はただのサヨク」と投稿し、別の学者B(英文学・女性)が「Aのような冷笑系には、網野のロマンティシズムを読み解くことはできない」と反論、更にC(日本史・男性)が「Bこそ思い込みしか根拠がないのに、妄想で当てこすっているだけだ」と論評。その後Cが1年半以上前からBの知らない所で、Bの言動をたびたび誹謗中傷していることが判明し、過去の発言を入手したBが、Cを強く非難した。それがSNSで炎上し、CがBへ謝罪する事態となった。ここへ有象無象の者がバッシングやキャンペーンをやり始めた。
それに対して、著者が「Cへの不当なバッシング」を批判したところ、著者にも火の粉が飛び移り巻き込まれてしまったグチをクドクドと述べている。
(この事件はSNS上では、有名な事件だったらしい? 以下ネット情報です。Cとなっているのは中公新書の「応仁の乱」でベストセラーになった「呉座勇一」で、女性のBは英文学者の「北村紗衣」。この事件がきっかけで呉座がミソジニストで、SNSでの不適切な発言を繰り返しているということでネット上で炎上したらしい。その影響で呉座はNHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の時代考証を降ろされ、国際日本文化研究センターを解雇され、それを不服とした呉座が裁判に訴えて係争中(2021年末~2022年初)だそうだ)
次に、SNSの炎上の話から、コロナでの「自分が罹らないためなら、他のやつらは黙って自粛しろ」の風潮への批判へと展開してゆき、ポストコロナは共感を作り直すことから始めなくてはならないと纏めている。
・・・この著者は、読者に分かりやすく理解させようとしているのか疑問に思う。
本書のメインであるコラムの内容についても、短文であるため、全体感が把握できないのでその分理解しにくい。著者の怒りが常に感じられるので、読んでいて疲れる。
対談については、まともな内容であったので、辛うじて救われたが、全体に著者の熱量が多すぎて、お薦めできる本ではないと思う。
ただいろんな書評をみると、★が4~5が圧倒的に多くついており、若者には理解できて共感が湧いているようなので、単にオジンがついていけないだけなのか?
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