平安貴族の恋や出世や富・・・艶やかな裏では・・・
著者:山口博
出版:PHP新書
平安時代、NHK大河ドラマの道長の時代の歴史は、「御堂関白記」「小右記」「権記」等々でかなり詳細に読み解かれている。歴史学ではその原因や動向を研究するが、その歴史の裏側で、泣く女については触れることはない。
そこで筆者は、この時代の和歌、日記、物語によって平安貴族の「生老病死」を読み解いていく。
貴族の女性のスタンダードな生き方は、仕事と結婚
「仕事」:女房としてどこに宮仕えするかということで、仕事は親や知り合いの伝手を頼ることもあったであろうし、転職もあったようだ。
「結婚」:現代のように法律で縛られることはないのと、男性が女性のもとに通う「通い婚」なので、女性の方が高齢になり男性の足が遠のくと、途端に人生の黄昏を迎えることになる。そうなると老後の資金を得るために「家を売る女性」も少なくなかったそうである。そこで高齢になっても面倒を看てくれそうな男性を求めることが最終目標になる。著者は和泉式部が30~40人程の愛人を持ったのは、頼りになる男性を求めてのことか?・・・という推測をしている。
「老後」:若き日の華麗な宮廷生活から一転して晩年の零落。女性は来世では成仏できなという仏教の教義は、死後の世界での更なる零落を暗示させ、彼女らは救いの道を求めて出家し、エリート尼が大量出現したりしている。
藤原道長はこのような女性の為に、土御門殿の一角に法成寺を作って、尼集団のパトロンになり、彼女たちの面倒をみたという。他にも少し例はあるようだが、極めて特殊なようである。尼にもなれない女性はどうしたのかと思ってしまう。
男性の生きがいは「出世」「恋」「富」のトライアングル
「出世」:彼らは、位階という三十階級のどこかに位置づけられ、途中に踊り場が2つあるそうだ。よりよい官位を獲得できるか否か、上流への憧れと上昇志向。男性はそこに生きがいを見出していた。
「恋」:「源氏物語」で繰り広げられる恋物語は現代では絵空事のように思われるが、実際には光源氏顔負けのプレイボーイもいたという・・・藤原実方。その歌も掲載されている。一般には、恋して最良の妻を迎えるのだが、その心の機微を恋歌にうかがうことができる。
「富」:政府から支給される俸給も、上流貴族は極端に高額なので、富を生きがいにすることも無いだろうが、中流の貴族だと顕職を捨てて地方官になって蓄財に努め、その後富の力でのし上がった人物もいる。「源氏物語」の明石入道などはその典型で、娘を光源氏の愛人にし、孫娘は中宮になった。
「病」:このトライアングルも「病」になれば壊れる。最も恐ろしい病は、生霊や死霊が取り憑いて祟りをなすと考えられていた。これの治療法は加持祈祷しかない。
以上のような事を、和歌、日記、物語で紐解いていくのだが、華やかそうな平安貴族も、病気や老後のことを読んでいると、段々と落ち込んでいく。
男性の生きがいは「出世」「恋」「富」のトライアングル
「出世」:彼らは、位階という三十階級のどこかに位置づけられ、途中に踊り場が2つあるそうだ。よりよい官位を獲得できるか否か、上流への憧れと上昇志向。男性はそこに生きがいを見出していた。
「恋」:「源氏物語」で繰り広げられる恋物語は現代では絵空事のように思われるが、実際には光源氏顔負けのプレイボーイもいたという・・・藤原実方。その歌も掲載されている。一般には、恋して最良の妻を迎えるのだが、その心の機微を恋歌にうかがうことができる。
「富」:政府から支給される俸給も、上流貴族は極端に高額なので、富を生きがいにすることも無いだろうが、中流の貴族だと顕職を捨てて地方官になって蓄財に努め、その後富の力でのし上がった人物もいる。「源氏物語」の明石入道などはその典型で、娘を光源氏の愛人にし、孫娘は中宮になった。
「病」:このトライアングルも「病」になれば壊れる。最も恐ろしい病は、生霊や死霊が取り憑いて祟りをなすと考えられていた。これの治療法は加持祈祷しかない。
以上のような事を、和歌、日記、物語で紐解いていくのだが、華やかそうな平安貴族も、病気や老後のことを読んでいると、段々と落ち込んでいく。
現代に生まれて良かったとつくづく思う次第です。