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2024年2月1日木曜日

読書 助監督は見た!実録「山田組の人びと」(鈴木敏夫)

 切れ味鋭く、ほっこりと描く山田映画の出演者たち


著者:鈴木敏夫
出版:言視舎

ジブリの「鈴木敏夫」と勘違いして、本を買ってしまった・・・よく題名を見れば、分かりそうなものなのに・・・(苦笑)・・・負け惜しみでいえば、山田洋次監督の映画の出演者の裏側が垣間見ることができ、それなりに楽しい本です。

著者は、1970年に松竹に入社し、見習い期間を終え、大船撮影所の助監督として、最初に配属されたのが、「男はつらいよ・望郷篇」だった。その撮影の間、山田組が嫌で嫌で堪らなかったそうだ。

理由は、山田監督はカット割りが決まるまで悩みに悩みぬく、芝居のテストを何度も何度も繰り返す、それでもなかなか「GOサイン」が出ない。時間だけが過ぎてゆく。
そのくせ自分が納得すると、スタッフや出演者をせかす。演出力のある監督だということは認めるし、監督は立場上自己中心的にならざるを得ないのはわかる。が、度を越していた。何よりも嫌だったのは怒鳴ること。ロケ撮影になると怒鳴りまくる。こんな野蛮な組は二度と御免だと思ったそうだ。

その頃の撮影所には助監督には「組」の選択権があり、著者は出来るだけ「山田組」を避けたそうだ。山田組のスタッフから「山田さんはお前のこと気に入っているのにどうして嫌がるの」とよく聞かれた・・・定年近くになった時に、山田監督からラブコールを受けた。その時監督は「最近僕がちょっと声を荒げると、みんなうつむいて口をつぐんじゃうんだ」・・・「声を荒げなければいいじゃないですか」と言い返したかったが、我慢して引き受けた。その後仕事をやっていて仲間から「敏さんが就いてから、監督の怒鳴る回数が減った」と。

「東京家族」「家族はつらいよ」「釣りバカ日誌」「小さいおうち」「母べえ」「学校」「男はつらいよ・望郷篇」等々の映画の出演者のエピソードが面白い。
橋爪功、妻夫木聡、松たか子、吉永小百合、緒形拳、田中邦衛、渥美清、倍賞千恵子、三国連太郎、西田敏行等々。(本の出版が2009年なので、直近の映画は含まれていません)

寝る前に読むには、緊張感なくほっこり読めるので最適です。安眠間違いなし。

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