脳はスマホにハッキングされている
著者:アンデッシュ・ハンセン(久山葉子訳)
出版:新潮新書
今では電車に乗って本を開いているのは私一人、稀にもう一人いる程度で、社内の老若男女のすべての人はみんなスマホを弄っている。一人だけ時代の流れから取り残された気分になる。
なぜこのような風景が当たり前になったのか?ということに前々から関心があり、その答えを出してくれたのが本書だと思います。
著者は、スウェーデンの精神科医で、人間の脳は、近年急激に発展した社会に適応できていないという考えをベースとして現代社会の問題を読み解いていこうとしている。
原始時代の人間は、食べ物を探すときに、その報酬を得られるかどうかわからなくても、食物を探し続けた。その人間を突き動かす衝動により我々の祖先は、生き延びてきた。
人間に組み込まれた不確かな結果であっても前に突き進む事への衝動。その理由の一つに「ドーパミン」があるという。ドーパミンは報酬物質と呼ばれるが、実はそれだけではなく、最も重要な働きは、何に集中させるかを選択させることだ。つまり人間の言動力の源泉とも言える。
報酬系システムを激しく作動させるのは、金、食べ物、セックス、承認、新しい経験のいずれでもなく、それに対する期待で、何かが起こるかも知れないという期待は、最も報酬中枢を駆り立てる。つまり脳にしてみれば、成果を勝ち取るまでの過程が目当てなのであって、その過程というのは、不確かな未来への期待で出来ている。
その一つの例がギャンブル依存症。脳の報酬システムが、不確かな結果になるのは分かっていても報酬を与えてくれるのだ。
原始時代の人間は、食べ物を探すときに、その報酬を得られるかどうかわからなくても、食物を探し続けた。その人間を突き動かす衝動により我々の祖先は、生き延びてきた。
人間に組み込まれた不確かな結果であっても前に突き進む事への衝動。その理由の一つに「ドーパミン」があるという。ドーパミンは報酬物質と呼ばれるが、実はそれだけではなく、最も重要な働きは、何に集中させるかを選択させることだ。つまり人間の言動力の源泉とも言える。
報酬系システムを激しく作動させるのは、金、食べ物、セックス、承認、新しい経験のいずれでもなく、それに対する期待で、何かが起こるかも知れないという期待は、最も報酬中枢を駆り立てる。つまり脳にしてみれば、成果を勝ち取るまでの過程が目当てなのであって、その過程というのは、不確かな未来への期待で出来ている。
その一つの例がギャンブル依存症。脳の報酬システムが、不確かな結果になるのは分かっていても報酬を与えてくれるのだ。
このメカニズムをうまく利用しているのは、ゲーム会社やカジノだけではなく、ソーシャルメディア、SNSも同じだという。
チャットやメールの着信音が鳴る、何か大事な更新がないか、「いいね」がついていないか確かめたいという欲求を起こさせる。その上、報酬システムが一番強く煽られている最中に、デジタルな「承認要求」を満たしてくれるのだ。
チャットやメールの着信音が鳴る、何か大事な更新がないか、「いいね」がついていないか確かめたいという欲求を起こさせる。その上、報酬システムが一番強く煽られている最中に、デジタルな「承認要求」を満たしてくれるのだ。
ソーシャルメディアのような企業の多くは、行動科学や脳科学の専門家を雇っている。そのアプリが極力効果的に脳の報酬システムを直撃し、最大限の依存性を実現するためにだ。
人間がドーパミンを与えてくれる対象に、意識を集中させるのは、生き延びるために大切なことだった。それが現代のように、一日中、数分おきにちょこちょこドーパミンを補給してくれる対象(スマホ)が出現した。そしてそれをを失ったら、当然ストレス反応が起きる。「ギャンブル依存症」ならぬ「スマホ依存症」だ。
人間がドーパミンを与えてくれる対象に、意識を集中させるのは、生き延びるために大切なことだった。それが現代のように、一日中、数分おきにちょこちょこドーパミンを補給してくれる対象(スマホ)が出現した。そしてそれをを失ったら、当然ストレス反応が起きる。「ギャンブル依存症」ならぬ「スマホ依存症」だ。
金儲けという意味で言えば、これらの企業は脳のハッキングに成功したのは間違いない。
その結果、現代人は、睡眠障害や鬱病やストレスの障害が発生している。
解決策は、以外と身近なところにあると著者はいう。
★睡眠を優先し、身体をよく動かし、社会的な関係を作り、適度なストレスに自分を晒し、スマホの使用を制限すること。
この本を読んで、自分の身の回りに起きている事と、人間の進化の過程で組み込まれた脳の仕組みがよく理解できた・・・さあ、出来るだけ屋外での活動に専念しよう・・・とも思うが、この夏の暑さを考えると憂鬱になるのも現実だ。
その結果、現代人は、睡眠障害や鬱病やストレスの障害が発生している。
解決策は、以外と身近なところにあると著者はいう。
★睡眠を優先し、身体をよく動かし、社会的な関係を作り、適度なストレスに自分を晒し、スマホの使用を制限すること。
この本を読んで、自分の身の回りに起きている事と、人間の進化の過程で組み込まれた脳の仕組みがよく理解できた・・・さあ、出来るだけ屋外での活動に専念しよう・・・とも思うが、この夏の暑さを考えると憂鬱になるのも現実だ。